聖霊の宴
「さて、昔話はここまでにしようか。
とにかく今はリコの魔力を抑える必要がある。この魔力が溢れだせば世界は荒れてしまうだろう。
だからこそフレアにここに来てもらった」
「フレアさんに……?」
シルクがフレアを見るとフレアは口元だけ笑った。
「魔力は千差万別。人の数だけ形があるのだが、私とフレアの魔力は奇跡的にほぼ同型なのだ。
リコの魔力は恐ろしく強く濃い。いかに私でも1人では魔力を抑えることができない。いや、大陸王クラスの魔力がなければ不可能だろう」
「魔力の封印は仲介者であるポリア族にしかできねぇ、だからオレはサモン様に魔力を受け渡しあの子の魔力を抑えることにしたんだ」
「そういうことだ。それに……
いや、これは言うまい」
サモンは最後に何かを飲み込んだ。
シルクにはその表情から、問いただしても無駄だと悟り、何も尋ねようとはしなかった。
「何にせよお前が無事で良かった。
おかえりシルク」
「……うん、ただいま」
シルクは唐突に理解していた。
こうして挨拶を交わすのはこれっきりになってしまうことを。
意識はせずとも何処かで分かってしまったのだった。