聖霊の宴
シルクは真っ直ぐにマリアを見る。
「考え頭を抱えよ、されど決して俯くな。民を守る為の盾となれ、されど決して折れてはならぬ。
民の安寧を全てとし、されど決して自らを犠牲にするな。
王とは民の為にある。しかし王も民の1人だということは決して忘れるな」
マリアはその表情にドキリとした。
いつか湖であった少年は、周囲の人を守る男となり、いつのまにか民を護る王となっていたのだ。
「フレアさんから教えられたその言葉を僕は胸に刻みました。
この世界に"たかが"なんて言葉を使う人は誰一人いません。皆が僕を支えてくれているんです」
マリアは笑って頷いた。
「そうね。もう十分に立派な王になったのねシルク」
シルクはにっと笑う。
「……さて、私の身体のことは置いておいて。
今日はあなたに来客が見えているわよ?」
「来客、僕に?」
「ええ、立夏の大陸王に会う為に早春の大陸王が直々に見えているわ」