聖霊の宴
嵐の様な凄まじい風を纏うフルートが振り下ろされる。
「――くそっ」
シルクの無防備な頭をフルートがコツンと打った。
「……なんてね」
「――へっ!?」
ワイズはギフトを解除して、大げさに手を挙げた。
「冗談だよ、冗談。今君を殺す理由なんて一つも無いしね」
『……まったくワイズは本当に悪戯が好きね』
シルフィードがワイズの肩にちょこんと乗り、呆れ顔でそう言った。
シルクはまだ現状が理解出来ずにいるのだが、悪戯に成功したワイズは満足そうに笑っている。
「えっと……つまり、どういうことかなミカエル?」
シルクはミカエルに頭を向ける。
ミカエルはそんなシルクを見て、「ぷっ」と吹き出した。
『つまり……ああいうことでしょう?』
そう言われてワイズを見ると、ワイズは真剣な顔で手を出していた。
「立夏の大陸王シルク・スカーレット。君と協定を結びに来た」