聖霊の宴

「この戦い……聖霊の宴の勝者が既に決まっている――?

言っている意味が分かりません」

シルクは動揺していた。

はっきりと意識して、ワイズの瞳を見つめなければ、それが伝わってしまうほどに。

「これまでに約30の大陸王と5の統一王が生まれた。彼らは幾多の戦いの果てにその座を掴んだわけだが……

その影に倒れた数え切れぬ宴の参加者達はきっと、王なる者との戦いでこう感じたはずだ。


――持てる物が違う。と」

ゾクッと背筋が凍るほどに冷たい瞳。

冷や汗がシルクの額を伝い、それに気付いたワイズが眉をひそめて笑った。

辺りに漂う空気が柔らかくなる。

「ではその持てる物とは何か?

バトルセンス、カリスマ性、才能、努力、英知、身体能力はたまた強い精霊を呼び込む運だろうか?

答えはそうであり、そうではないと言える」

「……じゃあ、その持てる物とは、なんなんですか?」

シルフィードがくすりと笑う。

「それは『血』だ。

今にあげた幾つもの力、才というものを全て包括したもの、それが王足りえる血なのだ」





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