聖霊の宴
「しかし、王の子供がその座を引き継ぐ世襲性ではないこの時代だ。
しかし、あたかも神の意志かのように、これまでの王にはある血を継いでいたという事実がある」
「ある血……?」
ワイズはゆっくりと視線をシルクからミカエルに移した。
それに気付いたミカエルがここで初めて口を開く。
『シルク、あなたもサモンから聞いていたでしょう?
錬金術師『アーケイム・スカーレット』。魔導士『ヴァイズ・ブリンガー』。魔闘士『ブレイブ・サミュレット』。祈祷士『プリエスト・ロッカレッチ』。先導士『ロウラル・クリリエント』。
つまり彼ら5人の血を受け継ぐ者が宴の勝者となる。そういうことですね、ワイズ王?』
ワイズは口元を緩める。
辺りはすでにオレンジに染まり、はぐれ烏が火山を越えようとしていた。
「その通り。しかし、もう1つの血が抜けている」
「……ソフィア族」
「――!!
ふっ、その通りだシルク」
ワイズは立ち上がり城下町を眺める。
「始まりの5賢者と波乱を呼ぶ者。これらの血縁こそが王たる血なのだ。
シルク君は、今までに何度もスカーレットの血を引く者と言われたことはなかったかい?」