聖霊の宴
輝きは次第に収まり、その中心に杖を持つ天使が現れた。
「君は……メゼシエル」
シルクに名前を呼ばれメゼシエルは微笑む。
『こんにちは早春と立夏の大陸王』
メゼシエルは2人に向かい深々と頭を下げる。
「メゼシエル、今回は何を通達しに来たのかな?」
『はい、今回はですね……』
メゼシエルが一歩踏み出した瞬間。
ワイズはシルクを隠す様にして魔力を練った。
研ぎ澄まされた魔力がメゼシエルに向けられる。
「わ、ワイズ王……?」
メゼシエルは声を出さずに笑った。
『これはどういうことですかな?早春の大陸王?』
ワイズはゆっくりと魔力を静める。
「僕は疑り深い質でね。
悪いけど、僕たちが戦闘態勢を取るのに必要な二歩と四半分。この距離を侵すことは止めてくれないか?」
ワイズの周りを飛ぶシルフィードもどことなくメゼシエルを警戒しているように見える。
メゼシエルは両手を上げる。
『ふふ……聡明なお方ですね。
分かりました。私はこれより一歩たりとも動きません。ですから……
どうかその刺すような魔力を私に向けるのは止めて頂けませんか?』