聖霊の宴
そして、来たる王の試練の時。
シルクはマリアと共にワイズの城を訪れた。
「マリアさん、長旅で身体はキツくないですか?」
シルクの気遣いにマリアはにっこりと笑う。
「大丈夫よ。それより、この橋を渡ったらワイズ王のいる城に着くわ」
橋の先端すら見えないほどの長い橋。
下には川の流れる音がするが、水面を視認することはできない。
ただ断崖が底にまで続いている。
『シルク、マリア。ワイズのことです、何か仕掛けてきてもおかしくはありません。
気を引き締めていきますよ』
ミカエルの声に2人は頷いた。
ゆっくりと慎重にシルクは橋に足をつく。
ギギッ。と不快な音をたてて橋が気味悪く揺れる。
「大丈夫そうだ。行きましょう」
シルクの後にマリアが続く。
全貌を臨むこともできない長い橋だが、幅は二人分がやっとくらいだった。
何かに支えられているわけでもない所を見ると、ただ陸地の端と端に丸太の橋をぶら下げただけの作りになっているようだ。
「ねぇシルク。この橋おかしいわよね?」
気味悪く揺れる橋。
「……はい、これは」