聖霊の宴
一瞬。
一陣の凍える様な風が吹いた。
パキッ。パキキィィッ。
吹き上がった水が瞬く間に、根元から凍り付いていく。
そして厚いガラス板が割れた様な音が鳴り響き、中心からグレイシアが現れた。
「ガキ共が……調子に乗ってんじゃねぇぞ!!
シヴァ――『嶺氷結界=レイビョウケッカイ=』」
グレイシアから放たれる、心臓を鷲掴みにされているかのように錯覚してしまうほどに、強大な魔力。
四方1キロメートルに渡る、巨大な結界がその中にいたシルクとマリアを飲み込む。
しかし、この結果はシルク達が図らずも望んでいたものであった。
シルク達の作戦は相手戦力を分断し、余力のある者でサスケを討つ。
それが成功すれば統一王へと近づく。
失敗すれば一気に早春と立夏の大陸王が倒れることになる。
リスクは限りなく大きい。しかし掴み取ればリターンは、それ以上に大きい。