聖霊の宴
急激に爆増するゲインの魔力。

その魔力は確実にリンクの魔力を上回っている。

「いきますよリンク。オッサン、オッサンとバカにしたことを悔いるがいいです」

飛び出したゲイン。

今までの鈍重さはなく軽やか。

欠片ほどしか感じなかった魔力は今やリンクの肌を震わせるほどにまで増大していた。

「くそっ何なんだよ。ピクシー・ギフト『玩具の剣』」

小さな小さなおもちゃの剣。

ゲインの右拳が迫り、リンクはそれを玩具の剣で受ける。

しかしおもちゃはおもちゃ。魔力で増幅した怪力を前になすすべもなく折られてしまう。

パキン。

軽い音が不思議なほど強くゲインの鼓膜を揺らしていた。

続く蹴撃でリンクは遥か後方にまで弾き飛ばされる。

「いたたたた…なんだよオッサン。急に強くなりやがって」

リンクは埃を手で払い、ゆっくりと立ち上がった。

口に溜まった血をプッと吐き出す。

「さぁ、もう分かったでしょう?力も弱く幼いあなたでは、その貧弱な下級精霊では私には勝てません」

ゲインはまるで演説をしているかのように両手を広げ得意気に言う。

「まだ分からないだろピクシー!」

ピクシーの幻術がゲインを包み込む。

しかしそれは何故か発動しなかった。

「幻術は魔力の勝負。あなたのお仲間がしたようにんざと魔力を抑えればかかりはしますが、抑えていない私の魔力はあなたより上。あなたの幻術などかかるわけがない」

ゲインの言葉にリンクは地面を見つめた。

そしてゆっくりと拳を開く。
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