聖霊の宴
「もーいいや。もう止めた」

リンクは馬鹿馬鹿しいと手を上げる。

そして駄々をこねる子供の目でグチグチとこぼす。

「最初から性に合わなかったんだよね。王とか闘いとか、仲間を守るとかさ。僕みたいな餓鬼にできるわけがないじゃん。そう思うだろ?」

ゲインに勝つことを諦めてしまったかのようなリンクの態度。

「ふふふふ。よく分かったじゃありませんか。あなたは子供ですもう自分の思うままにしてお家へ帰りなさい」

ゲインの諭すような言葉にリンクは弱く笑った。

「そうだね。もうこんなことは止めて自分勝手にさせてもらうよ」

ゲインはにこりと笑う。

「私は命まで取るつもりはありません。さぁ、今すぐに厳冬の大陸から去りなさい坊や」

優しく言うゲイン。

リンクは馬鹿にした様に笑うのだった。

「ワイズに止められてたから我慢してたけどお仕舞い。さぁピクシー、本当のお前をみせてやれ」

リンクは抑えていた魔力を解き放つ。と共にピクシーの姿がみるみるうちに変化していく。

小さな身体はすらりと長い女性形に、柔らかかった羽は美しい蝶の様に、そしてその頭上には王たる証の輝く冠を。

「なっ、なんだその姿は。まさか」

「そ、そのまさかだよ。僕のピクシーはただの下級精霊の悪戯悪魔じゃない。その頂上に君臨する幻惑の女王『クイーン・ピクシー』さ」







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