聖霊の宴

「いくぞバイコーン!ギフト『双刻牙』」

長身で細身の男・ボンドの手に漆黒の二つ牙の籠手がはめられる。

ボンドが軽くそれを振るうと大地が裂け、その軌跡には鋭い日本の線が刻まれた。

「続くぜミノタウロス!『クエイク・アックス』」
ワイズの背後からここぞと迫り来るボンド。


筋肉質なスキンヘッドのアリの手に真っ赤な柄をした巨大な斧が表れる。

アリがゆっくりと地面に奥と、その部分が沈みこむ。

見るからに相当な重量をしている。

そんな二人よりも先にワイズの眼前へと迫った小柄な女・ラピット。

自身の精霊であるプラズマの力によって身体能力が飛躍的に上昇していた。

更には全身を覆う強力な電撃の鎧。

大気を焦がす電撃を帯びた拳でワイズを打つ。

「まったくお転婆なお嬢さんだね」

ワイズの風は対象を掴む。

柔らかな風が迫り来る拳を掴み、流れるように横へと力を流す。

その流した方向に足を滑り込ませるだけで、ラピットは足をすくわれ地面に倒れる。

そのラピットを飛び越えアリの斧が降り下ろされた。

ワイズはそよ風のフルートでその斧を受ける。

「はっはっは。そんな小さい棒じゃ簡単にぶち破っちゃうぜ?大陸王さんよ!」

しかしフルートにはヒビひとつ入らない。

アリはそれを見るとすぐにフルートを折ることから、そのままワイズの腕の動きを奪うことに考えを変えた。

上からの重量と圧力にワイズは身動きが取れないからだ。

「今だいけぇ!」

「わかってるよ!」

ワイズの背後からここぞと迫り来るボンド。

その容赦無い一撃がワイズを捕らえようとしていた。

「ひゃっはっはー!これで終わりだな風の王!!」

「やれやれ手足を抑えただけで私に勝てると思っているとはね。

呆れてしまって声もでないよ」

ワイズが魔力を込めると凄まじい風が唸りをあげる。

「エアーズ・クエイク」

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