聖霊の宴

ワイズの持つ術の中でも最速で、広範囲の敵にダメージを与えるエアーズ・クエイク。

術が発動すれば避けることはおろか、視認することすら叶わない。

「――――なに!?」

ワイズは異変に気付く。

風が発生しないのだ。

「そらよ!」

ボンドの牙が無防備なワイズの脇腹をかすめる。

間一髪でボンドの牙を避けたワイズ。

ワイズは異変の元凶を見つける。

「何をしたのか分からないが君の能力の様だね」

ワイズの見据える先には長髪に無精髭を蓄えた男・アルベルトがいた。

その目は鋭く、ワイズを睨み付けている。

「左様。

貴様の風は素晴らしい。しかし私の能力の前では意味を成さない」

不敵に笑うアルベルト。

更に追い討ちをかけてくる精霊使い達。

「フリーズ・ウイップ!」

純白の雪のように輝く鞭が迫り来る。

ワイズはそれを横に飛んで回避した。

その先で回り込みアリの斧が迫り来る。

頭を下げてワイズは斧での凪ぎ払うような攻撃を回避したが、続く強烈な蹴りで後方に吹き飛ばされてしまった。

「キンキョリ、中距離、遠距離。そして不可解な能力封じを使われてはなかなかに厳しいね」

『まずはあの不気味な男をどうにかしないとね』

「あぁ、だがなんとなくやつの力は分かってきたよ」



< 261 / 406 >

この作品をシェア

pagetop