聖霊の宴
ワイズの持つ術の中でも最速で、広範囲の敵にダメージを与えるエアーズ・クエイク。
術が発動すれば避けることはおろか、視認することすら叶わない。
「――――なに!?」
ワイズは異変に気付く。
風が発生しないのだ。
「そらよ!」
ボンドの牙が無防備なワイズの脇腹をかすめる。
間一髪でボンドの牙を避けたワイズ。
ワイズは異変の元凶を見つける。
「何をしたのか分からないが君の能力の様だね」
ワイズの見据える先には長髪に無精髭を蓄えた男・アルベルトがいた。
その目は鋭く、ワイズを睨み付けている。
「左様。
貴様の風は素晴らしい。しかし私の能力の前では意味を成さない」
不敵に笑うアルベルト。
更に追い討ちをかけてくる精霊使い達。
「フリーズ・ウイップ!」
純白の雪のように輝く鞭が迫り来る。
ワイズはそれを横に飛んで回避した。
その先で回り込みアリの斧が迫り来る。
頭を下げてワイズは斧での凪ぎ払うような攻撃を回避したが、続く強烈な蹴りで後方に吹き飛ばされてしまった。
「キンキョリ、中距離、遠距離。そして不可解な能力封じを使われてはなかなかに厳しいね」
『まずはあの不気味な男をどうにかしないとね』
「あぁ、だがなんとなくやつの力は分かってきたよ」