聖霊の宴

『あの髭男の能力が分かった?本当なのワイズ?』

シルフィードの心配そうな問いにワイズは笑って答える。

「君は聖霊だ。自分を信じていれば良いよ」

「無駄話は終わったかい?」

容赦なく降り下ろされる斧。

ワイズはひらりとかわす。

「シルフィード。『風来』」

ワイズが魔力を込めた瞬間。

アルベルトが魔力を放つ。

生み出された風が止み、ワイズの術は不発に終わる。

「やはりね。」

ワイズはアルベルトを見据える。

そして手をかざした。

「どうやら君の精霊は気圧を操る事が出来る様だね」

風は大気圧の高低差によって生じる。

アルベルトの精霊はその気圧を小さな空間ではあるが全く等しい大気圧にすることによって、風が生じることのない空間を作り出していた。

「その通り。さすがは聡明なるワイズ王だ。

そして気圧を急激に変化させれば人間の身体を押し潰すこともできる『スカイ・フォール』」

大気の壁に押し潰される様にしてワイズの身体が地面に沈んでいく。

『ワイズ!!』

メリメリと音をたてて地面が割れる。

足が少しずつ地面に沈んでいく。

「ふふ」

アルベルトはワイズが笑うのを確かに見た。

「何が可笑しい!!

やれ!あいつは今動くことができない!!」

ボンドとアリが迫りワイズをその凶刃の射程距離に捕らえた瞬間だった。

「散れ『嵐風』」










「――――なん、だと!?」





















< 262 / 406 >

この作品をシェア

pagetop