聖霊の宴
グレイシアは哀れみにも似た冷徹な表情でマリアを見据える。
マリアの表情は吹雪によって伺うことができない。
「哀れな坊やね……」
グレイシアは余裕でマリから目を放し、吹雪の先にいるにであろうシルクに言っているかのようだった。
「哀れ……?シルクが?」
マリアの声にグレイシアはマリアに目を向ける。
「なに?なにか間違っているかしら?
一時の情に流されしもべを消される。そんな大陸王を指さずに何を哀れと言うのかしら?」
冷たい目に冷たい口調。
話しているだけで極寒の地で震えているかのような感覚に陥る。
しかしマリアに震えはなかった。
もしマリアの身体がユレテイルとしたら、それは恐怖などではなく、ただ純粋な怒りであった。
友を大陸王を仲間を蔑まされたことへの純粋な怒り。
「ふっ。哀れとはあなたみたいなことを言うのよ」
「なんですって!?」
マリアはゆっくりとポセイドンの槍を構える。
「仲間の力を信じることができない。信頼と絆と言う何物にも勝る力を知らないあなたを私は哀れむわ!」
マリアの魔力が溢れだす。
それはシルクと戦ったあの頃とは隔絶された、洗練された魔力だった。
「見せてあげるわ。私がこの戦いでシルクとワイズ王の為だけに使うと決めた力を!
ウンディーネ!!」
大気中の水分が溢れだし、それらはマリアの槍の回転の導きによって収束していく。
大海流は雪原をも引き裂き飲み込む。
そして、その中心部からマリアはウンディーネを招来する。
「精霊の招来!?まさか、あなたーー」
「いくわよグレイシア!これが私のオーパーツ
『ロッド・オブ・バミューダ』!!!」