聖霊の宴
刹那。
大天使の羽衣は布切れのように破られてしまった。
「言っただろう僕はもう――――」
グレイシアは間髪いれずに魔術を放った。
「――――はっ!マリアさん!!」
氷漬けにされたマリア。
グレイシアは表情を変えることなく言い放つ。
「超零度に魔力の衣も無しにさらされている。
意識レベルも低くこのままでは彼女の命はもってあと2分てところかしらね」
「グレイシア、貴様」
「さあシルク・スカーレット、彼女を助けたくばこの私を殺しなさい!!」
シルクの足元から生える氷柱。
シルクは瞬間に光でそれを切り裂く。と同時にシルクはグレイシアにむかって光撃を繰り出す。
「そうよ、いい感じよシルク。
その調子で容赦なく私を壊しなさい!」
グレイシアは全面に氷の盾を作り出し、光を屈折させて後方へと飛ばした。
盾はひび割れ崩れ去る。
氷片が散る中でグレイシアはシルクが目の前に迫ってきているのを見た。
シルクの左手が伸ばされ、光が放たれる。
いかに今の感覚が研ぎ澄まされた状態のグレイシアであっても、この至近距離でシルクの光を完全に回避することは不可能であった。
グレイシアは横に飛ぶようにして直撃をそらす。
光に包まれたのは右腕の端。
グレイシアは笑う。
ズキッ。
あるはずのない感覚。
グレイシアは目を見開き自らの腕を確認する。
「なに?
どういうこと!?」
先程シルクの光に包まれた場所が痛みをはしらせていた。