聖霊の宴
その言葉に精霊であるシルフィードですら驚愕した。
『ギフトを使っていない!?それじゃあ彼は精霊の力もなしにあなたを圧倒しているというの?』
ワイズは冷静にサスケを見つめる、そしてある答えを導き出した。
「いや、精霊の力を借りていないと言ったら語弊がでてくると思うよ。
彼は精霊がもたらす神具を使用していないだけであって、精霊のもたらす力の増幅の恩恵は受けているはずさ。
そうでなくてはこの僕が速力であそこまで圧倒されることに説明がつかない。そうだろう?
そろそろ姿ぐらい見せてはどうかなサスケの精霊よ」
『ふっははは』
西洋の鎧を身にまとった老人が姿を現す。
シルフィードはその姿に思わず声を漏らした。
『そ・・・そんな』
『風の精よ、このワシの姿はそれほどに慄く様なものであったかな?』
老人の身に纏うオーラともとれる威圧感にワイズですら額に冷たい汗が滲んでいた。
「シルフィード・・・彼は?」
シルフィードは声を絞り出すように言った。
『彼は・・・彼は最高神オーディン』
『ふ、風の精霊如きが我が高尚なる名を口にするとは万死に値する愚かしい愚行である。
・・・が、今は宴の席ということに免じて許してやろう』
ただ見つめられただけで全身に悪寒が走る。
『して風使いの小僧。わざわざワシを呼んだのだ、何か聞きたいことがあるのだろう?』
「はは、まさか最高神オーディンが一精霊として宴に参加しているとは思わなかったよ。
どうやらあなたはサスケにギフトを与えていないが、代わりに魔力を身体操作に必要な力量、神経の超速伝達を可能にする回路を与えたと見る」
『名答』
「何故そんな回りくどい方法を?」