聖霊の宴
オーディンは不敵な笑みを見せる。
『何故とな?
答えは明解じゃ。こやつが望まず、ワシが力を与えることができないからじゃ』
オーディンの答えにワイズは首をかしげる。
『ワシの十八の魔術はワシがこの片方の瞳を犠牲にし得たもの、ユグドラシルに自らを磔にして得たもののみ。
故にワシからこやつに与えることはできぬし、仮に与えられたとしてワシ以外には扱えるものはおらぬ』
「しかしあなたはあの神具を持っているはずだ」
ワイズの言葉にオーディンの眉間に皺が寄った。
『ふむ。小わっぱの汚らわしい口で我が愛具の名を呼ばなかったことは誉めてやる。
じゃが、ちと小わっぱにしてら色々と物を知りすぎている様じゃな。サスケ早いうちにけりをつけろ』
オーディンの言葉にサスケが笑う。
「……全く。たまに名を呼んだと思えば命令ばかり。疲れる相棒だ」
畳が弾け飛び一瞬にしてサスケの姿が消えた。
思わずシルフィードが叫ぶ。
『また消えた。どうするのワイズ!?』
ワイズが意識の中で捕らえるよりも早くにサスケがワイズの背後で刀を鞘から抜こうとしていた。
流麗な剣撃が鞘から離れワイズを切り裂くまでの時間は一秒にも満たない。
その刹那の中でサスケは確かに聞いた。
「まったく、今回の宴は面白いやつばかりだね」
その声を聞いたサスケの視界からワイズの姿が消える。
そして、一陣の風が吹き抜けたかと思うと
「ーーなっ!?」
サスケの右袖が切れていた。
「貴様何をした?」