聖霊の宴
サスケの切られた右袖が風に揺れる。
ワイズはこの宴始まって初めてサスケに触れた。
「何って、少しだけ君の真似をしてみただけさ」
『どういうことワイズ?』
このことには精霊であるシルフィードも理解できていないようだ。
ワイズは人差し指で自らのこめかみを指差す。
「シナプス。
脳で行われる神経伝達の全てを担うこの器官に魔力を注ぎ込み、神経伝達の速度を加速させ、許容の絶対量を底上げした。
プラス、反射を司る脊髄にも魔力を流し込むことで、五感が捕らえたごく微量な刺激にも超速で身体を動かすことができる。
故にーー」
サスケの視界からワイズの姿が消える。
背後に回り込んだワイズのそよ風のフルートでをサスケは日本刀で受け止める。
初めて互いの武器同志がぶつかりあった。
「今の僕は君と同等の速力を持っている」
笑みを浮かべるワイズ。
この時ワイズ以外にただ一人オーディンだけが彼の身体の異変に気づいていた。
しかしオーディンはそのことをサスケに告げることはしない。
戦いの神と称される彼故にサスケの胸のたかなりを理解しないことは難しかったのだ。
「面白い男だな、早春の大陸王!」