聖霊の宴
その攻防に費やした時間は僅か五秒。
その間にサスケとワイズが武器を交えた回数、なんと百八。
しかし双方に目立った傷跡はなく、ワイズは頬を僅かに切り、サスケは左手の甲に一センチほどの腫れが見られるのみ。
目でも追えぬほどの速度の攻防の中で両者の気持ちは同じだった。
「この男……」
「こやつ……」
再び二人の武器がぶつかり弾ける。
怯むことなく体勢を建て直し、二人は見つめ合う。
「「面白い!」」
サスケとワイズとの神がかりの戦いが加速する中、シルクがタラリアによって厳冬の城へと到着した。
『……これはこれは、凄まじい魔力のぶつかり合いですね』
ミカエルですら息を呑むほどの魔力が当たりに散っていた。
「うん、でも……すごく楽しそうだね」
当たりに散った魔力の痕跡から少しではあるが、その感情すら読み取れるようになってきたシルクに、ミカエルはその成長を感じていた。
『これが真の大陸王同士の闘いなのでしょう。
シルク、あなたにこの戦地に足を踏み入れる勇気はありますか?』
ミカエルの問いにシルクが笑う。
「愚問だねミカエル。
覚悟なら、とうに出来ている」
真っ直ぐな澄んだ瞳、
その瞳が写す景色は変わり、そしてその瞳がこれから写すものは荘厳で神秘的、そして残酷なものになっていくことをシルクは、心のどこかで気づいていた。
「さぁ、いこうミカエル」
『ええ』