聖霊の宴
ガサガサ。
少年は目と鼻の先で何か影が揺れるのを見た。
その大きさは人のそれを遥かに越えていた上に、複数あり、少年の頬を冷たい汗が伝う。
後退する為に、足を僅か上げた瞬間。
「ゴォァァァァァアッ!!」
尖った歯を剥き出しにしながら、赤い目をしたゴリラの様な巨大な生物が一斉に襲い掛かってきた。
「ストロング・バイトの群れか!!」
強靱な顎の力でどんなものでも噛み砕くために付けられた名前。
ストロング・バイトは群れでの狩りを好み、肉食だ。
「まずい、とりあえず逃げなきゃ……うわっ!!?」
走りだした足がもつれて絡まり少年は前のめりに倒れてしまう。
突進してきていたストロング・バイトが少年を捕らえようとした時だった。