聖霊の宴

魔力によって保護されているはずの大陸王の城の半分が消し飛ぶほどの威力。

大空に舞い上がった土煙がゆらゆらと暗黒の雲によって覆われてしまった空を漂う。

闇に溶け込む煙はまるで地平線の境を崩すかのように揺らめくのだった。

「・・・全く相変わらず無茶をするね」

煙をかき分けて出てきたワイズ。

ワイズとシルフィードを匿うように水の柱が天高く伸びている。

その水柱は四本あった。

ワイズはその水柱を精製した張本人を見ていう。

「助かったよ。いくら我々でも彼女のオーパーツから身を守れるほどの力は残っていなかったからね。

強くなったんだんね・・・マリア」

水柱がふっと消え、マリアは照れ笑いをしている様にも見えた。

「いえ、間に合って良かったです。

恐らくシルクと厳冬の大陸王も無事でしょう」

「ああ、助かったぞ」

煙を払いのけてサスケがその姿を現した。

白い道着には埃がついている。

グレイシア、マリア、サスケそしてワイズの無事が確認された。

「・・・シルクは?」

マリアがそう口にして振り返った瞬間だった。

土埃を払いながら地面から岩が隆起して襲いかかってくる。

「『光撃』!!」

光の筋が隆起し貫かんとする岩を消し飛ばす。

マリアの鼻先で岩は止まった。

「シルク」

「今は再会の喜びに浸っている暇はないようだ。

骨のありそうなのが三人・・・深手を負っているワイズは後方で待機して、あとはそれぞれ戦いましょう。・・・・・・来ます!!」

その突進力で土煙が渦巻きながらはれていった。

「僕はあのハットの男を・・・残り二人は頼みます」

シルクはそう言うとシルクハットをかぶった男めがけて飛んでいった。

サスケは大男に、そしてグレイシアとマリアは上背のある男に向かっていく。

「せめてものサポートだ・・・皆、無事で帰ってこいよ」

そよ風が四人の戦士にまとわりつく。

それは優しくも力強く戦士の鎧として害なす物を振り払う。


























































< 322 / 406 >

この作品をシェア

pagetop