聖霊の宴

焦土と化した大地に巨大な氷が立ち上る。

その下では壮絶な闘いが行われていた。

「マリア水流弾よ」

「はい!『流翔弾』」

螺旋回転した高圧水流が闇を纏う男に迫っていく。

「がぁぁぁあっ」

男が手を切ると闇が水流を遮る。

マリアの中でもとりわけ攻撃力の高い水流弾を容易く受け止められ、マリアは表情を強ばらせる。

体してグレイシアは笑っていた。

「受け止めたわね。

避けなかったことを後悔しなさい『アイス・ウェーブ』」

凍てつく様な波動を放つグレイシア。

波動は直進して男ではなくマリアの放った水流弾に直撃した。

その瞬間。

「凍れ変質者!」

パキィッ。と高い音が鳴り響き、重厚な水の幕が一瞬にして凍りつく。

それは闇を纏う男をも巻き込んで凍りついたのだった。

「ちょろいもんね」

グレイシアは勝ち誇った様にそういうと笑った。

「あれだけの流動する水を一瞬で凍らせるなんて、なんて桁外れの魔力なの!

流石ですグレイシア様」

マリアがグレイシアに駆け寄る。

「…………喜ぶのは早いみたいよマリア。

全く、しつこいオヂサンは嫌われるわよ?」

氷が割け、闇が飛沫のように吹き上がる。

黒い雨が氷を侵食し、闇が蠢いて人が現れた。

「はっ……あれは」

マリアはその男の正体に驚愕する。

「何でよ……あなたはシルクに負けて、ソフィアによってコロサレタト聞いたのに。

何であなたが今目の前にいるの!……ゲセニア・アルボルト!?」




< 324 / 406 >

この作品をシェア

pagetop