聖霊の宴

サスケの神速の刃が大男を切り裂く。

「ガァァァァァァアッ!」

大男は血飛沫よりも早くに紅く煌々と輝く指輪を発動する。

「なんと奇っ怪な……」

切り裂かれた身体が光輝き細胞が再びくっつき始めた。

血は一滴も流れることもなく、切り傷一つ分からぬほどに完璧に治癒した。

「ふはは。驚いておるか?ワシの力に。
我が賢者の石の力に……は?」

「……至宝一刀『神無月』」

大男の全身に亀裂が走る。

サスケはわずかに血のついた刀を振るい、血を飛ばすとゆっくりと刀を納めていく。

「身体が……ワシの身体が!

ぬおぉぉっ!賢者の石!賢者の石!!わしの身体を治せぇぇぇっ!!」

チン。と納刀の音が小さく響く。

サスケは崩れ落ちていく大男を哀れみ見下す。

「貴様の力がいかに高速に身体を治そうと、拙者の刀の前には鈍重極まる。

貴様が身体を千度治す前に、拙者は貴様を万度切り裂く。眠れ弱者よ」

「くっそぉぉぉぉおっ!!!」

ぼとっと崩れ落ちた肉片。

賢者の石はくすんだ光をわずかに撒き散らし、粉になって消えた。

「…………くっ」

サスケはその場に崩れる。

「全く。宴の参加者を蝕み、自らの魔力を分け与え操る力か。

弱者を弄ぶその所業、許せぬな」



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