聖霊の宴

グレイシアはそっと南東の方角を見た。

その視線の先、視界には映らないが確かに巨大な魔力同士が今まさにぶつかり合おうとしていた。

グレイシアはその魔力に覚えがあった。

「マリア。あなたを一人の戦士として認めるが故に言うわ」

改まるグレイシアにマリアは拭いきれない不安がこれから現実のものとなるかもしれないことを知った。

「・・・はい」

「もし私の感覚が鈍っていないのだとしたら、シルクはこれから今までに対峙した事のない強大な敵と闘うことになるわ。

もし彼がその強大な敵に敗れることがあったなら次は私たちが彼の仇をとり、そして世界を波乱に陥れようとしているヤツを殺す。良いわね?」

その言葉を聞いた時マリアは溢れ出る涙を止めることができなかった。

涙は彼女の白い肌をつうと滑り、紫の結晶に落ちて染み込んだ。














「・・・はい、必ず」






< 330 / 406 >

この作品をシェア

pagetop