聖霊の宴

「終わりにしましょう。

『障土・冥獄』」

その巨大なナニカがより集まり、否。

混沌と這いずりながらシルクに向かって放たれる。

「僕は、

僕は世界を諦めない!!

『大天使の羽衣・白翼の塔』」

純白の塔がそびえ立ち、ナニカとぶつかり合う。

「くっ、ぐぅ……」

ナニカは純白を削り犯していく。

塵一つ残さずに侵食し、喰らい、飲み込んでまた貪る。

もはやシルクの力など時間稼ぎにしか過ぎなくなっているのかもしれない。

それほどに力は隔絶されているのだ。

「はやく、きえて」

リコが手をかざすとナニカは急速落下を始めた。

白翼の塔が傾き、その巨大な建造物ごとシルクを押し潰そうとしている。

「ぐぁぁあっ!!

リコぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!!!」

ミシミシと押し潰され、足が大地にめり込んでいく。

筋肉の繊維はたちまち切れていき、魔力もみるみるうちに消耗している。

ただ、朦朧とする意識の中でもシルクの覚悟は揺るがなかった。

「僕は僕を犠牲にしても君を守ると決めた!

目を覚ませリコ!!」

最後の力をふりしぼるが押し潰されていた力関係を覆すことなどできず、均衡を保つのがやっとだった。

「うるさい。うるさい。うるさい!」

リコはシルクの言葉を聞いて取り乱す。

「なんなのよ!早く消えてよ。

もう私に関わらないで!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!!

消えてよぉぉぉぉぉおっ!!!」

リコの狂気につられて、ナニカが大爆発を起こす。

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