聖霊の宴

闇の王降誕

土煙が舞い上がり、一瞬にして闇に飲み込まれる。

晴れた闇の遠景の中で、超速で何かがリコに近づいていた。

何かは闇を切り裂き、リコの眼前に迫る。

一瞬リコが目を見開く。

「貴様は」

着物がなびき、長髪が風に尾をひかれる様にはためく。

「剣技・月孔」

サスケの超速の推進力にかけあわされた、まさに神速の刺突がリコの胸の中心をとらえる。

黒い紋様の中心に剣がめり込む。

「やめろぉぉぉおっ!!」

リコの叫弾に呼応して蠢く闇が剣ごとサスケを飲み込もうと接近してきた。

闇の魔力の源である黒い紋様を裂こうとしている刃を闇が包もうとした時、リコ
はあるものが剣を覆っていることに気がつく。

剣にまとわりつくは絶海の干渉できない結界であった。

「今の私では剣の鋒(きっさき)数センチメートル程しか『ロッド・オブ・バミューダ』の結界を展開することができなかった。

それでも、私にできることならば、この命が燃え尽きようとも諦めはしない!」

不可侵の結界はリコの闇すらも拒み、それに守られた刃が少しずつリコの皮膚を破いていく。

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