聖霊の宴
障気はまるで今までそこに存在していなかったかの様に世界から一瞬にして消えた。
障気によって異常に発達した雲は瞬く間に払われて、世界は温かな光に包まれていく。
その朝日はいつもよりも強く輝いている。
グレイシアはサスケの元へかけより手をさしのべた。
「すまぬ……」
手を握り返すサスケ。
サスケの体を引き起こすと、グレイシアはすぐにマリアの肩を掴み、立ち上がらせる。
マリアは完全に魔力を使い果たしたのだろう、全身から力が抜けてだらりとグレイシアに身体を預けている。
「これで終わったのよね?」
グレイシアは独り言の様に呟いた。
そこに遠くから一つの小さな足音が聞こえた。
三人は振り返る。
そしてすぐにその人物に駆け寄った。
「シルク!」
「立夏の……」
「シルク・スカーレットあんた!」
七つ道具のほとんどが破壊され、ボロボロになった羽衣を纏うシルク。
マリアはグレイシアから離れ、シルクに抱きついた。
「マリアさん?」
「……シルク。あぁ、良かったあなたが無事で---」
そして四人は知るのだった。
明けたのは夜ではなく、この世界の絶望の明星であることを。
「そんなバカな……」