聖霊の宴
「光撃……いや『聖撃』!!」
闇を打ち払う光がルシフェルをとらえる。
「小賢しい魔力よ。
だがその程度では我が闇の衣を剥がすことなどできぬわ!」
カサッ。ルシフェルの背後から何かの音がした。
「ならこの至近距離からならどうだね?『雷皇掌』!!」
天をも貫く裁きの雷を掌に纏い圧縮させた力が、ルシフェルに直撃する。
「ぬぅあああああっ!!」
激しい光と熱量は分厚い闇の衣を打ち払っていく。
「舐めるなよ下等生物が!
貴様が我が衣を剥がす前に闇に引きずり込んでかくれよう……」
ルシフェルの右手に闇が集まる。
「くらうが良い『闇撃……」
「『鏡火』!!」
不可視の高温の熱波がルシフェルを容赦なく撃ち抜いた。
それでもルシフェルは目の前のサモンに向かって闇を打ち付ける。
サモンは塵一つ残すことなくきえた。
「何だ何処を狙っている?」
背後からまた闇の剥がれかけている部分に雷がうちつける。
「貴様……なぜ?」
確かに目の前から消えたサモン。
しかしその魔力は寸分も失われずルシフェルに向かっていた。
「フレアの鏡火は何もお前を止める為のものではなかった。
ほんの一瞬でも蜃気楼にお前を取り込む為のものだったのだ」
フレアは最後の魔力を使いきり地に伏していた。
サモンはそんなフレアを誇らしげに見つめる。
「そして、我々はまんまお前の闇の衣を剥がすことに成功した。
覚悟しろ堕天使……貴様が下等生物と罵る我々人間の怒りの鉄槌を」
ルシフェルはその時ようやく気づくのだった。
自らの回りを囲んでいる精霊使いの数に。
そしてその放たれる魔力の力強さに。
「くそ!何故だ!?何故なのだ!
何故だれも理解しようとしない、この私の強さを崇高さを!私が私こそが神にふさわしいと言うのに!!!」
全魔力を集結した術が一斉に放たれた。