聖霊の宴

砂ぼこりが払われ、爆発の中心でボロボロになったルシフェルが踞っていた。

六人は足を引きずりながら近づいていく。

「二度も地に落ちた傲慢なる者よ。

貴様の望んだものはこの哀れな姿か?」

サモンの言葉にガタガタと震えながらルシフェルが顔を向ける。

顔面の左半分は消し飛び、残る右半分もグシャグシャに潰れてしまっている。

そんなルシフェルの姿にマリアは目を背けた。

「何を見下している……

貴様ら下等な生物がこの私を見下すな!!」

『ルシファー』

「ミカエル……なんだその、目は

見るな。私をそんな目で見るんじゃない!!」

ミカエルは憐憫の眼差しでルシフェルを見下ろしていた。

「止めろ!止めろ!!

止めろと言っているんだぁあっ!!」

叫び声、浮き上がる血管が破け血が吹き出した。

どす黒いそれがルシフェルを染めていく。

ルシフェルに異変が起きた時、シルクは"それ"の存在を思い出した。

「皆まだだ!

まだ僕たちは"それ"を止めていない」

全てを無に返し、意識や空間、時空全てが消える。

"それ"の存在に恐怖した時、ルシフェルがカラダヲ引きずりながらあるきだした。

そして"それ"の前で立ち止まる。

「さぁ私を飲み込め。

そして私の一部となるのだ」

ルシフェルが手を広げた瞬間。

"それ"がルシフェルの身体の中へと吸い込まれていった。

ルシフェルの身体はぶくぶくと膨れ上がり、腐ったリンゴのような色に変色していく。

「ウガァァァァァァアアアアッ!!!」

『ルシフェル、ルシフェル!

止めなさい!』

ミカエルの叫びももうルシファーには届かない。

"それ"はルシフェルの身体の中に収まり、暗黒を導き闇の王を産み出した。

『あれがルシファーの本当の姿……悪魔王サタン』

天をも覆い尽くす巨体。

雄羊のような角と朽ちた翼、漆黒の吐息は触れたものを死滅させる。

呼び出す業火は存在をも抹消する。

「そうか……

世界は程なくして終わる」

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