聖霊の宴

サモンはいつもの優しい笑顔でシルクを見守っていた。

「サモンさん僕は……」

サモンは小さく首を降った。

そして優しい声で言う。

「あやつを倒し、灰炎に戻ろう。

そしてまた皆でのんびりと過ごすんだ、リコを連れてね」

シルクは何も言わずに力強く頷く。

そして1人歩みだした。

「ねぇミカエル。

君はあの時言ったね」

『…………』

「君の力は呪われていて僕に授けることはできないと」

『はい』

シルクは歩みを止めた。

そしてミカエルに真っ直ぐに目を向ける。

「僕はもうあの時の弱い子どもじゃない。

今は力を手にし、大陸王となり、かけがえのない仲間を得た。僕は何を代償にしようともこの世界を、皆の世界を護りたい」

シルクは力強く手を差し出す。

「だから君の力が必要だ!

僕はすでに理解している、君と一緒ならどんな敵にでも勝てると!!」

ミカエルはシルクの堂々たる姿に一粒の涙を流した。

それを優しく拭うと、ミカエルは膝まづく。

『はい。私の力はあなたの願いを叶える為に……』

ミカエルは膝まづいた状態で、ゆっくりと手を差し出す。


二人の手が重なる。

「そっか……お別れなんだね?」

シルクは手を重ねた瞬間に理解した。

でも不思議と涙は出なかった。

ただ感謝と、偽りのない笑顔が溢れ出す。

「ミカエル僕は、君と戦うことができて本当に良かった」

ミカエルはシルクを真っ直ぐに見上げていた。

『私もあなたに使えることができて良かった。

あなたは私の、いえ。天界の希望です。どうかお元気で』

「うん、ミカエル……」








「ありがとう」
『ありがとう』























< 380 / 406 >

この作品をシェア

pagetop