聖霊の宴
サモンはいつもの優しい笑顔でシルクを見守っていた。
「サモンさん僕は……」
サモンは小さく首を降った。
そして優しい声で言う。
「あやつを倒し、灰炎に戻ろう。
そしてまた皆でのんびりと過ごすんだ、リコを連れてね」
シルクは何も言わずに力強く頷く。
そして1人歩みだした。
「ねぇミカエル。
君はあの時言ったね」
『…………』
「君の力は呪われていて僕に授けることはできないと」
『はい』
シルクは歩みを止めた。
そしてミカエルに真っ直ぐに目を向ける。
「僕はもうあの時の弱い子どもじゃない。
今は力を手にし、大陸王となり、かけがえのない仲間を得た。僕は何を代償にしようともこの世界を、皆の世界を護りたい」
シルクは力強く手を差し出す。
「だから君の力が必要だ!
僕はすでに理解している、君と一緒ならどんな敵にでも勝てると!!」
ミカエルはシルクの堂々たる姿に一粒の涙を流した。
それを優しく拭うと、ミカエルは膝まづく。
『はい。私の力はあなたの願いを叶える為に……』
ミカエルは膝まづいた状態で、ゆっくりと手を差し出す。
二人の手が重なる。
「そっか……お別れなんだね?」
シルクは手を重ねた瞬間に理解した。
でも不思議と涙は出なかった。
ただ感謝と、偽りのない笑顔が溢れ出す。
「ミカエル僕は、君と戦うことができて本当に良かった」
ミカエルはシルクを真っ直ぐに見上げていた。
『私もあなたに使えることができて良かった。
あなたは私の、いえ。天界の希望です。どうかお元気で』
「うん、ミカエル……」
「ありがとう」
『ありがとう』