聖霊の宴
その閃光は瞬く間に全てを飲み込んだ。
世界各地のありとあらゆる万象の生命力そのものを糧とした聖なる力は、暖かくも激しく無慈悲に闇を滅していく。
「何故だ?私は天界とも冥界ともまた隔絶された力を手にしたはずだ。
それなのに何故、何故だ、此度も敗れようとしているのだ!?このような小僧に!この私が!!!」
ルシフェルの怒号も辺りに虚しく響くだけ。
呼応してより邪悪になる魔力も、その矢先に光に打ち消されていく。
「この私が……あらゆるものを超越し、神すらをも凌駕しうるこの私が!」
シルクは耳を塞ぎたかった。
「私は神を軽蔑する!私は世界を嫌悪する!私は私以外のこの世の全てを……」
その時ルシフェルは1つのため息を聞いた。
その主はすぐに判明する。
「……傲慢だな。
あなたはそうして自分の弱さも理解できないから、こうして僕みたいな小さな者にも劣る」
怒りに満ち溢れたシルクの顔をこの戦いの最中ずっと側にいたミカエルですら初めて見た。
そしてミカエルは瞬間に理解する。
その怒りはシルク個人だけのものではないことに。
「あなたは強い、だが孤独だ。故に絆を知らず、ただ嫉妬にかられ憤怒する。
理解することを怠け、愛を知らず、己の傲慢の中で息をするだけのあなたに……
僕たちが負けるはずがない!!!」
「戯れ言を……!!?」
その時、シルクの言葉に応えるかのように世界が再び光を放つ。