聖霊の宴
小さな虫が叫ぶ。
木の葉が大木が謳い、鳥は囀ずる。
風にまった命も、土に還った魂も全てがただ一人の王の為に手を掲げる。
全てはただ世界の安寧を願い。
邪なる者にその安寧を奪われんと。
「何故君のような人が僕みたいな小僧に負けるのかって?」
叫びは歌は光となってシルクの元に集う。
そこにいた者達は皆理解する。
真の王たるものとは世界に愛され、その中心で誰よりも深く悲しみを受け入れるものだと。
「あなたの様な傲慢な人に、こんな小僧一人に勝てるわけがないだろう!!」
シルクは泣いていた。
ミカエルの代わりになのか、それとも偽りのない彼自身の感情が精製したものなのか。
マリア達は残された魔力をシルクに分け与える。
魔力は献上され信頼の証に彼女らは膝まづく。
『英傑に選ばれし真の大陸王よ。
私はあなたに出会えたことを心より、神に礼を言う』
エクスカリバーはより一層輝きを増し、世界に漂う闇を消し去っていく。
「許さん、許さんぞ!」
聖なる光はサタンと化したルシフェルを打ち払う。
闇は光に飲み込まれ、障気に型どられた巨躯も消し炭の様にボロボロと崩れていく。
サタンの頭部が崩れ、その中から1つの影が落ちていくのが見えた。
『ルシフェル……』
ミカエルは無意識に手を伸ばしていた。
「ミカエル……お前は」
あと少しで手が重なる。
ミカエルは必死で叫んでいた。
心から信頼した友の手を握るため。
幾度の裏切りを経てもミカエルの中にあったのはただ友の無事であり、幸せであった。
「そんなだから貴様はいつまでたってもあまちゃんだと言うのだ」
ルシフェルはそう言ってミカエルの手を叩き振り払った。
『そんなルシフェル……』
「今回は敗けを認めよう。
だがこれで終わりではない。神が下らぬ世界を続ける限り私は何度でも冥府の果てより甦り、世界を混沌に染めるだろう。
せいぜい……」
ルシフェルは闇に落ち、そして天より降り注ぐ光に焼き付くされて消えた。
『ルシフェルーーーーーーっ!!!』