聖霊の宴
ゴルドとラックが洞穴内にある分かれ道に差しかかろうとする頃、アニスはその洞穴を見つけた。
なんとなく怪しく思えて近付いてみる。
「こっち側には来たことなかったし、こんな洞窟まであったのか」
不謹慎とは思いながらもアニスはいつも思い焦がれていた谷を越えた世界の冒険にワクワクする気持ちを抑えられないでいた。
洞窟に近付くと中の空気が吐き出されているのか少し肌寒いくらいの冷たい風が洞窟の外に向かって吐き出されていた。
それはまるで奇妙なほどに長い呼気のようにも思える。
「ん、これって・・・?」
ふいに足元を見たときにアニスは地面にあるものを発見した。
この世界を滑る大陸王のみが手にすることを許される、不老不死の宝剣『聖剣アバンカールド』のマーク。
その切っ先が洞穴の中を指し示していた。
「まさか二人はこの中に」
暗い穴の中、奥は見えない。
アニスはまたいつものリズムを鼓動が打ちならそうとしているのを察して首を大きく横に振った。
「臆病なんて出ていけ。出ていけ。出ていけ!
僕はメリルを今度こそ助けるって覚悟を決めたんだ!!」
パチン!と両頬を叩く音があたりに響いて、自分に活を入れたアニスは迷いのない表情で顔を上げる。
「待っててメリル。今助けに行くから」
アニスが足を踏み入れようとした時だった。
誰かが急にアニスの肩を掴んだ。
「誰だ!?」
アニスは飛び跳ねるようにして振り返った。
そこには大きな荷物を抱えて息を切らした博士の姿があった。
博士はトレードマークの丸メガネがズレているのを直す余裕もないらしく片方の耳から大きく外れてぶら下がっていた。
「博士・・・なにその荷物?」
「いざって時の為さ・・・はあはあ。
それより凄いじゃないかアニス」
アニスは急にほめられたので首をかしげた。
博士はずれたメガネを直すよりもよりも先に満面の笑顔でアニスに言うのだった。
「初めてあの谷を越えられたんだね。これでやっと一緒に冒険できるじゃないか!」
アニスは照れ臭そうにして笑った。
「ありがとう博士。
あ、少し荷物持とうか?」
「いや大丈夫さこのくらい。今時のインテリは体も強くなくちゃ勤まらないからね・・・って、うわとととととっ」
自分の体の半分くらいの大きさにまで膨らんだリュックを思い切り、膝のバネで持ち上げた博士はバランスを崩した。
とっさにアニスが支えとなり二人は顔を見合わせた。
そして博士が笑って言う。
「ごめん、やっぱり手を貸してくれるかい?」
「もちろん、僕らは仲間だからね」
即答したアニスも笑っていた。
博士は手で持ちやすいものをアニスに手渡した。
まだまだパンパンに張ったリュックではあったが幾分かは軽くなったのであろう。
再び背負いなおすが今度はふらついたりはしなかった。
「さて・・・」
気を取り直して二人はこれから進んでいく真っ暗な穴の奥を見つめた。
「いこう、この先でゴルドとラック・・・それにメリルが待っている」
「うん」
ゆっくりと慎重に二人は洞穴へと入って行くのであった。
なんとなく怪しく思えて近付いてみる。
「こっち側には来たことなかったし、こんな洞窟まであったのか」
不謹慎とは思いながらもアニスはいつも思い焦がれていた谷を越えた世界の冒険にワクワクする気持ちを抑えられないでいた。
洞窟に近付くと中の空気が吐き出されているのか少し肌寒いくらいの冷たい風が洞窟の外に向かって吐き出されていた。
それはまるで奇妙なほどに長い呼気のようにも思える。
「ん、これって・・・?」
ふいに足元を見たときにアニスは地面にあるものを発見した。
この世界を滑る大陸王のみが手にすることを許される、不老不死の宝剣『聖剣アバンカールド』のマーク。
その切っ先が洞穴の中を指し示していた。
「まさか二人はこの中に」
暗い穴の中、奥は見えない。
アニスはまたいつものリズムを鼓動が打ちならそうとしているのを察して首を大きく横に振った。
「臆病なんて出ていけ。出ていけ。出ていけ!
僕はメリルを今度こそ助けるって覚悟を決めたんだ!!」
パチン!と両頬を叩く音があたりに響いて、自分に活を入れたアニスは迷いのない表情で顔を上げる。
「待っててメリル。今助けに行くから」
アニスが足を踏み入れようとした時だった。
誰かが急にアニスの肩を掴んだ。
「誰だ!?」
アニスは飛び跳ねるようにして振り返った。
そこには大きな荷物を抱えて息を切らした博士の姿があった。
博士はトレードマークの丸メガネがズレているのを直す余裕もないらしく片方の耳から大きく外れてぶら下がっていた。
「博士・・・なにその荷物?」
「いざって時の為さ・・・はあはあ。
それより凄いじゃないかアニス」
アニスは急にほめられたので首をかしげた。
博士はずれたメガネを直すよりもよりも先に満面の笑顔でアニスに言うのだった。
「初めてあの谷を越えられたんだね。これでやっと一緒に冒険できるじゃないか!」
アニスは照れ臭そうにして笑った。
「ありがとう博士。
あ、少し荷物持とうか?」
「いや大丈夫さこのくらい。今時のインテリは体も強くなくちゃ勤まらないからね・・・って、うわとととととっ」
自分の体の半分くらいの大きさにまで膨らんだリュックを思い切り、膝のバネで持ち上げた博士はバランスを崩した。
とっさにアニスが支えとなり二人は顔を見合わせた。
そして博士が笑って言う。
「ごめん、やっぱり手を貸してくれるかい?」
「もちろん、僕らは仲間だからね」
即答したアニスも笑っていた。
博士は手で持ちやすいものをアニスに手渡した。
まだまだパンパンに張ったリュックではあったが幾分かは軽くなったのであろう。
再び背負いなおすが今度はふらついたりはしなかった。
「さて・・・」
気を取り直して二人はこれから進んでいく真っ暗な穴の奥を見つめた。
「いこう、この先でゴルドとラック・・・それにメリルが待っている」
「うん」
ゆっくりと慎重に二人は洞穴へと入って行くのであった。