聖霊の宴
ゴルドの進んだ先はすぐに行き止まりになった。
ゴルドは探索の際には必需品としているマッチを取り出して静かに火を灯した。
「これは・・・?」
淡い光で浮かび上がったのは薄汚れた大量の袋であった。
大きさはちょうど子ども一人が入るくらいのもので、ゴルドはそっと、その中の一つを開けてみる。
袋が開いたところでマッチが燃え尽き、中身が確認できなかったのでゴルドは再び火を灯した。
「うそだろ・・・これって本物!?」
そこには袋にぎっしりと詰め込まれた金貨があった。
「こっちも・・・こっちも!!」
合計4袋にものぼる金貨が詰まった袋。
まず普通の家庭ではお目にかからないであろう金貨の数が尋常ではないことは子どものも分かった。
そしてこの金貨が恐らく法に反する方法で巻き上げられたものであることはまず間違いがなかった。
「うわわわわっ」
急に恐ろしくなってゴルドは尻もちをつく。
そのまま尻を地面に引きずりながら背後の岩肌まであっという間に後ずさっていった。
その時、後頭部を勢いよくぶつけてはっと我に返ったゴルドが一つの事実に気がつく。
「まてよ・・・こっち側に金貨が隠されているってことは、もしもここが本当に誘拐犯のアジトだったらラックの進んだ先には」
ゴルドは一目散に元来た方向へと駆け出した。
「ラック・・・ラック無事でいろよ!」
ゴルドの懸念は見事的中する。
ゴルドが例の分かれ道へと戻ってくる途中、洞窟の外にまで響くラックの悲鳴が響き渡るのであった。