聖霊の宴
始まりを告げる月
「おーい、リコ。シルク君とこに朝ご飯を持っていっておくれ。」
火山灰の降り積もる最果ての集落。
その中で村長を努めているブレイズ家から、朝飯の匂いが漂っている。
「わかったわパパ。行ってきます。」
村長であるサモンに言われ、食卓の上に乗っていたお盆を手に取り、リコは家を出た。
後ろ手に縛ったブロンドの髪が揺れる。
まだ十二歳のあどけない顔だが、凄くしっかりとしている子である。
「さて、シルクのことだし……この時間はアソコかな?」
届けるはずのシルクという人物の家を背にしながら、リコは真っすぐにそこを目指すのだった。