聖霊の宴
長き戦いの始まり
とある山中。
そこで三月の間、シルクは鍛練に励んだ。
「はっ。はっ。はぁっ!!」
流麗な型から繰り出される殴撃、蹴撃は以前のそれとは比べものにならないほどに、速く鋭い。
『シルク。そのくらいにして休憩しては如何ですか?』
そしてミカエルとの会話も日常的に出来るようになっていた。
これはシルクの魔力が確かに増大した一つの証拠であった。
「ありがとう、ミカエル。そうするよ。」
タオルで汗を拭いながら、一番大きな木の影で座った。
そよそよと木々の間から風が流れ込む。
『いよいよですねシルク。』
「うん。いよいよ明日から第二の試練が始まる。」
バークの城では魔力を封じられていた為に、参加者はお互いの精霊すら知らない状態のまま各地に散らばった。
『聖霊の宴は毎回、死者すらでる過酷な戦いとなります。それでもシルクは』
「誰も殺さない。」
強い眼差しにミカエルは微笑む。
『あの力……大分使いこなせる様になりましたが、敵も精霊の様々な力を以てあなたに挑んできます。くれぐれも気を付けて。』
「うん、分かってるよ。」
そして戦いの幕が開かれる。