聖霊の宴


山を越えて谷を抜け。

目的地まで迫ると地図から炎が消えた。

「ある程度近づくと炎は消えるってわけだ。」

『ここからは気を引き締めていかなければなりませんねシルク。』

感覚を研ぎ澄まし林を抜ける。

いつ何時、何処から攻撃されても反応できる様に、野性の獣の如く辺りを見る。

気配はまだない。

『もしかしたら敵は湖にいることで優位に立てる能力なのかも知れませんね。』

「だね。……でも、それでも行かなくちゃ。」

少しずつ少しずつ林を抜けていく。

足音を消して、気配を殺し。

ようやく林を抜けると、そこに広がるのは対岸すら見えない巨大な湖だった。






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