聖霊の宴
『ウンディーネ。水の精霊ですか……だとしたらここは彼女のテリトリー。苦しい戦いになりますよシルク。』
胸の中から聞こえるミカエルの声。
シルクはある感情を押し殺す様に、緊張を高める。
「……長話しもしていられない。さっさと済ますわ。」
左手をゆっくりとシルクに向けたマリア。
「『スプラッシュ・ニードル』!!」
マリアが魔力を込めると、湖のあちこちから、渦を巻き水流の針がシルクに向かっていく。
ドゴォォオッ。
その威力の凄まじさは先程の水弾の比ではなく。
当たった堅い地面を数十センチほどえぐり取るほどだった。
「かき消せ『光波』!!」
シルクの左手から放たれる光の波。
一直線にスプラッシュ・ニードルの数本を捕える。
「……なるほど。光の熱量で水を蒸発できるわけね。」
かき消された技を観察しながら、戦況を優位にする為の情報を集めていくマリア。
「捕縛しろ『光束』!!」
マリアに向け放たれた光の帯。
帯はマリアの手前で裂けて散らばり、四方からマリアを捕らえようとした。
「甘いわね――『スプラッシュ・ウォール-水流壁-』」
ドバァァアッ。と音を立てながらマリアの周り全ての水が吹き上がり、強力な水流の壁を作り出した。
それはシルクの光の帯すらも弾き飛ばした。