聖霊の宴

バシャァァァァッ。と音をたて、吹き上げられた莫大な量の水が、湖に還える。


「――――!!マリアさんが居ない。」

水の幕を目隠しに何処かへ身を潜めたマリア。

「第2のギフト……『ギフト・ポセイドンの槍』!!」

水面に目をこらしていたシルク。

急に自分の周りに影が落ち、上から急速に近づいてくるそれに気が付く。

「なっ!?空から――!!」

水流壁で水中に身を潜めたと思っていたマリアだったが、実は吹き上げた水流で自らを上空へと運んでいた。

急降下しながら、鋭利な三つ又の槍をシルクに突き立てる。

「くそっ。ミカエル!!岩の盾を!!」

シルクが地面に手を触れ魔力を込めると、一瞬にしてシルクの周りを岩が覆い尽くした。

「残念ねシルク。これはダイヤモンドさえ切り裂く水流の刄よ。」

ドッ。と激しい音と共に辺りが揺れた。

まるで紙切れの様にスパッと切り裂かれた岩の盾。

抉り取られた地面に不自然に水が溜まっていた。

「……?なに、この水溜りは?」

マリアがそれを疑問に思った瞬間。

ゴッ。と音をたてながらマリアの後方で水柱が吹き上がった。

「――なっ、なに!?」

振り返ったマリアを影が覆う。





「まさか――!!」



< 59 / 406 >

この作品をシェア

pagetop