聖霊の宴
対峙した2人の魔力はシルクやマリアのそれとは別格だった。
「ヴァジリスク!!『双牙弾』」
ガバッ。と開かれた像すら丸呑みに出来そうなアゴから、二本の牙が放たれる。
「ベルゼブブ……『絶命の檻』」
ゲセニアが手をかざすと、ブブブブブ……と不快な音をたてながら闇が牙を包み込み、牙もろとも霧散して消えた。
「――!?なんだ今のは……ヴァジリスク、もう一度遠距離から様子を伺うぞ。『腐毒放射』!!」
再びヴァジリスクが口を開くと、今度は喉の奥から銃口の様な筒が出てきて、真っ黒な液体を噴射した。
「様子見か……無駄なことを。ベルゼブブ『ギフト・ヴァコーステリトリー(絶対不可侵の闇)』」
ブブブブブとまた壮絶な雑音が響き渡り、闇がゲセニアを覆い尽くした。
噴射された毒液がその闇にかかると、また一瞬にして霧散して消えてしまった。
「元来……」
ぽん。と誰かがフリップの肩を叩く。
「――――なっ!?」
振り向くと闇の中からゲセニアが姿を現した。
いつ移動したのかすら分からない。
正に闇の中から這い出てきたかのようで、フリップは恐怖に怯える。