聖霊の宴
「ははははは。消えていく、オレの身体が消えていくぞぉぉお。」
涙を流しながら笑うその様は不気味以外には表せないもので、ゲセニアは眉をひそめた。
「痛みはない。ただ闇に消える。痛覚、圧覚すらも刺激しないほどの極小の蝿だ。もはや細菌と呼んでも良いだろう。」
ゾリゾリ。
食われている本人にのみ僅かに感じられる振動が、その命を蝕むに似合わない静けさが恐怖をあおる。
「白蛇のヴァジリスク。恐らく今回の宴であれば、私以外にはまず負けることはなかったであろう。」
「……そうだ。『最凶』と『転生』の象徴であるはずのヴァジリスクが何故復活しない!?」
右腕と共に消えたポイゾネスウィップ。
「なに簡単なことさ。君と一緒でヴァジリスクも自らの死を理解できぬままに死んだからだ。」
フリップには言葉の意味が理解できなかった。
それを悟ってゲセニアが指差したのは、すでに3分の2は消えたフリップの身体だった。