聖霊の宴
パチパチパチ。
ゲセニアの背後から拍手が聞こえた。
「誰だ?の死にたくなかったら私の後ろに立つな。」
返答はない。
「ふぅ……ベルゼブブ。」
ズァア。っと音をたてながら闇がゲセニアの後方へと進攻する。
しかし途中で闇が止まる。
「……なんだと?」
ベルゼブブの異変に気付き、ゲセニアが背後へと振り返える。
そこではベルゼブブと、それとは違う闇がぶつかり合っていた。
「私と同じ闇の力。貴様はいったい誰だ!?」
コツコツ。革靴が地面に擦れ、はだけたシャツにふかし煙草。
「名前ねぇ。あんまり興味ないんだよな、そういうのって……」
不思議な感覚だった。
確かに目の前にいるその男は、ゲセニアのことなど見ていない様で、針の穴ほどの隙もない。
「サマー・グラウンドの宴の参加者ではないな?」
謎の男はゆっくりとポケットから5つの首飾りを取り出した。
「それは『オータム・ビレッジ』の『晩秋の首飾り』……それも5つだと!?貴様まさか!!」
「クソみたいにつまらない戦いだったなぁ。ま、興味ないからどうでも良いんだけど。こいつがどうしても見ておきたい精霊がいる。って言うから。」
そう言って魔力を込めて煙草をふかす。
すると、気味が悪いくらいに真っ黒な煙があがり、その中心に大きな一つ目と口、そして小さな腕と角が二本ずつ生えた。