聖霊の宴
「なんだこいつは?」
ゲセニアがベルゼブブに問いかけるが、返事がない。
「どうしたベルゼブブ?」
『……わからねぇ。こんな奴は魔界には居なかったはずだ。』
「闇の力だぞ?それが魔界には居なかったと言うのか?」
特に戦いに至る様な雰囲気ではないが、決して、一瞬たりとも気を抜けない。
『オレ様に突っ掛かるな。少なくとも魔界にはいなかったが、闇の力を手にする方法は何も悪魔に生まれなきゃいけねぇわけじゃねぇ。』
「……どういうことだ?」
『……ある種族は自ら羽をもぎ取ることで魔属の力を手にすることができる。』
ゲセニアは気付いた。
「そうか……『堕天使』か。」
ゲセニアの言葉に初めてその男が笑った。