聖霊の宴

ガシャァァン。

固く閉じられた教会の扉。

「……いたた。マリアさん大丈夫ですか?マリアさん?」

先程まで隣に居たマリアの姿はそこにはなかった。

ただ広い礼拝堂だけがシルクの視界に広がる。

吹き抜けた天井の窓から光が差し込み、鮮やかなステンドグラスで反射して、辺りを照らす。

それはその場の空気さえもを浄化している様で、シルクはしばらく見入っていた。

『……シルク?』

ミカエルの心配そうな声にシルクはほほえみ返した。

「ありがとうミカエル。大丈夫だよ。さ、マリアさんを探しに行こうか。」

そう言ってシルクが動きだそうとした時。

「その必要はない。」

コツコツ。と革靴の音が響いて、物陰から男が現れた。

「あなたは……シム牧師。」

「シルク・スカーレット君だったね。」

シムはにこやかに話すが、そんな表情とは裏腹に鋭い魔力を放っていた。

「マリアさんを探す必要がないって、どういうことですか?」

シルクの言葉にシムは不敵に笑う。

「見て分からないかな?」

「…………?」

シルクはゆっくりと辺りを見回していく。


「――――!!!!」





< 73 / 406 >

この作品をシェア

pagetop