聖霊の宴
ガシャァァン。
固く閉じられた教会の扉。
「……いたた。マリアさん大丈夫ですか?マリアさん?」
先程まで隣に居たマリアの姿はそこにはなかった。
ただ広い礼拝堂だけがシルクの視界に広がる。
吹き抜けた天井の窓から光が差し込み、鮮やかなステンドグラスで反射して、辺りを照らす。
それはその場の空気さえもを浄化している様で、シルクはしばらく見入っていた。
『……シルク?』
ミカエルの心配そうな声にシルクはほほえみ返した。
「ありがとうミカエル。大丈夫だよ。さ、マリアさんを探しに行こうか。」
そう言ってシルクが動きだそうとした時。
「その必要はない。」
コツコツ。と革靴の音が響いて、物陰から男が現れた。
「あなたは……シム牧師。」
「シルク・スカーレット君だったね。」
シムはにこやかに話すが、そんな表情とは裏腹に鋭い魔力を放っていた。
「マリアさんを探す必要がないって、どういうことですか?」
シルクの言葉にシムは不敵に笑う。
「見て分からないかな?」
「…………?」
シルクはゆっくりと辺りを見回していく。
「――――!!!!」