聖霊の宴
礼拝堂の奥。
聖母マリアの壁画の上で、十字架に磔にされたマリアの姿。
「マリアさん?……マリアさん!!」
すぐ様駆け寄ろうとしたシルクの行く手を何かが通り過ぎた。
「まぁ、待ち給えよ。そう急がなくても、次期君もああなる。」
シムの手にはいつの間にか拳銃が握られていた。
憎悪を込めた瞳でシルクがシムを見る。
「良い目だ。若々しく汚れない……本当に…………勘に触る目だ。」
ドン。タタタン。
シルクに向かって発砲したシム。
「許さない。『ギフト・大天使の羽衣』!!」
弾丸は光に触れると目標物を失ったかのように、静かに地面に落ちた。
「ノーム。彼を捕らえなさい。」
シムが魔力を込めた瞬間。
シルクの上下左右の壁が突起してシルクを檻の中に囲い込もうとした。
「捕らえろ『光波』!!」
シルクの左腕に巻き付いた羽衣が光を放つ。
それは一直線にシムへと向かっていく。が、しかし。
「な、なんだと?」
光は急に方向を変えて、斜め上の天井を突き破った。