聖霊の宴
シムを護ったのは美しく輝く長剣だった。
まるで鏡の様に光り輝いている。
「『ギフト・宝剣-明鏡止水-』」
「宝剣……だと?」
シムはゆっくりと明鏡止水を構える。
「我が精霊ノームは大地を司る四精霊。鍛冶や錬金術に優れた能力を持っている。」
わずかな光すらも反射する明鏡止水はシルクにとって決して相性の良いものとは言えなかった。
「彼が数百年の生涯を掛け、この宴の為だけに造り上げた最高傑作がこの明鏡止水だ。シルク・スカーレット君、よおく味わい給え。」
振り上げた明鏡止水を躊躇なく振り切る。
間一髪で避けたシルクだったが、何か違和感を感じていた。
「はあっ!!」
そんな違和感を振り切るかの様に繰り出した回し蹴りがシムを捕えた。
パリィィィィィイン。
するとシムが居たはずのそこが砕け散り、足元にガラスが散乱した。
「な……!?シム牧師はどこに?」
辺りを見回すがどこにも見当たらない。
「ここだよシルク・スカーレット君。」
すると背後からシムが現れ、明鏡止水を振りかざした。
ズバッ。とシルクの右袖が切り裂かれ、僅かに血が滲んだ。
「……くそっ。」
振り切ったシルクの拳が捕えたのは、またしても鏡で、パリン。と音を立てながら地面に落ちた。