聖霊の宴
「ふはははは。」
何度倒しても現れるシム。
その度にガラスの様な何かが辺りに散乱していくのだった。
「……なんだよこれ。切りがないじゃないか。」
背後から、時には真上から、どこからともなく現れては攻撃を仕掛けてくるシム。
「さぁ、どうしたね?ん?息があがっておるぞ。」
明鏡止水を振りかざし、反撃によって砕け散りながらシムが笑った。
「……向こうの攻撃は当たるのに、こっちの攻撃は効いていない。まるで踊らされてる様だ……マリアさんを早く助けなきゃいけないの……に?」
ふとマリアを見上げたシルクの動きが止まる。
「隙をつくったなシルク・スカーレット!!」
ズバッ。とシルクの右肩が切られる。
深い傷を負いながらもシルクはシムに振り返ることもなくマリアを見続けていた。
『シルク、どうしたのです?敵はすぐ後ろに!!』
「……鏡だ。」
『……え?』
シルクの言葉にシムの表情が初めて歪んだ。
「あそこにいるマリアさんの、口元のホクロ。左右逆になっている。」
「気付いたかシルク・スカーレット!!だがそれだけでは我が力から抜け出すことはできな――」
シルクはシムの言葉には一切耳を貸さず、ゆっくりと深呼吸をした。
荒ぶる神経を静め、心を緩やかに保つ。
「…………くそ。」