聖霊の宴

全ての邪念を取り払い、心を静かにした瞬間。

バリィィィィィイン。

シルクの居た教会が音を立てて崩れ落ちた。

「……初めまして。シム牧師。」

目の前に立っていたシムにそう言ったシルク。

「私の明鏡止水の幻術から抜け出すとは、予想以上だよシルク・スカーレット君。」

『……幻術?あれが?』

ミカエルですら驚いていた。

「明鏡止水とは邪念なく静寂な心の状態のこと。それを鏡による光の乱反射と、心理的な揺さぶりで阻害することで幻術に落としていたんだよ。」

シルクの完璧な分析にシムは拍手をした。

「ご名答。だが、少しだけ来るのが遅かったね。」

その時、シルクは気付いた。

シムに隠れて見えにくいが、前方で人が倒れていることに。

「マリアさん!!」

シルクが駆け寄る。

「……シルク?気を付けて、シムは強い……」

ガクッ。と力なく倒れるマリア。

シルクは大天使の羽衣でマリアの止血をして、振り返る。

「ノーム気を引き締めていくよ。『ギフト・鮮血の石』」

シムの指に煌めいた血の様に赤い石。

おぞましいほどの魔力がそれからあふれ出ていた。

「これがノームの真のギフトだ。」







< 77 / 406 >

この作品をシェア

pagetop