聖霊の宴
走るシルクがその異変に気付くまでに、そう時間はかからなかった。
後方から聞こえる木々の悲鳴に、シルクは首だけ振り返る。
「……なっ、何が起こっているんだよ!?」
バキバキバキ。っと轟音を響かせながら、まるで自分の居場所をシムに教えるかの様に、シルクの後方の木々だけが割れる。
「やっぱり遠距離に作用できる類の能力なんだ。」
バキバキバキ。
必死に走るが木々の追走は振り切るどころか、ぐんぐんその距離を縮めてきている。
「……はっ。あれは……」
その時、シルクの目に草木のない、広い平地が見えた。
「とにかくあそこまで行けば……」
その瞬間だった。
「かくれんぼはお仕舞いだよ。坊や……」
木々が裂け、遥か後方のシムが不気味に笑っていた。