聖霊の宴
ガキィィィィィン。
辺りに響き渡る渇いた音。
「ほっ。」
振りぬかれた刃を躱し、シルクが反撃をする。
体勢を崩したシムを捕えることなど容易なはずだった。
「……ノーム。」
鮮血の石が輝くとシムの足元から木の根が飛び出し、シルクを襲う。
「――危なっ!!」
間一髪で身体を反らして躱したシルク。
すると、目の前にはシムの容赦ない斬撃が迫ってきていた。
「ちょ、待っ――!!」
「ノーム。」
鮮血の石が光り、シルクは自らの足に違和感を覚えた。
一瞬目で足を確認すると、いつの間にか岩に足がめり込んで動かなくなっていたのだ。
「嘘だろ?足が捕らえられて……くそっ!!」
回避することは適わず、反撃することもできない体勢のシルクに眼前にまで迫ったシムの攻撃を避けるすべは無かった。
「終わりじゃの。ぼう――」
「『飛流漠』!!」
シルクの目の前でシムの刃が弾け飛んだ。
それと共に頬に感じた冷たい感覚。
シルクの頬は水飛沫で濡れていた。
「小娘が邪魔をしおって。」
シムが見据えた先に立っていたのは
「……!!マリアさん。」
ウンディーネのギフト・ポセイドンの槍を構えたマリアだった。